2012年10月にPlayStation Vitaにて発売された。零の軌跡の移植作品。
Evolutionシリーズの第1作であり販売はキャラアニ、開発は「アリス・ギア・アイギス」のピラミッド。
メインシナリオのフルボイス化と全楽曲のフルアレンジが売りとなっている。
ネタバレあり
Evolutionシリーズレビュー
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よかった部分
画質の向上
次世代携帯機PlayStationVitaに移植されたことで画質が大幅に向上した。
PSP版ではぼやけていた画面がくっきり表示され、エフェクトもより派手に見えるのはプレイしていて嬉しく感じる所である。
ただし、オブジェクトはそのままのためはっきり見えることがマイナスになってしまう。PSP版では特に問題なく見えていたものも少しショボさが際立ってしまった感じになっている。
フルボイス化
今作最大の目玉であるメインシナリオのフルボイス化。PSP版では掛け声ぐらいしかボイスが存在しなかったため、シナリオもより堪能できるのはとてもいい。
PSP版ではボイスのなかったサブキャラもドラマCDと同じ人が声を当てていて聴き応えのあるものになっている。
ただ、あくまでもメインシナリオ部分だけがフルボイスとなっているのみであり、必須クエストで喋ってくれないのは残念なところである。
悪かった部分
一部のボイスアクター
メインメンバーのキャストについてはPSP版とドラマCDで採用された声優がそのまま採用されているのため非常に聴き応えがあるものになっている。
しかし一部のモブに関しては当時のjdkBANDメンバーがボイスアクターとして採用された。声の演技は素人なため、当然ながらその演技はひどいものになっている。
定期的に素人ボイスが出てくるため物語への没入感が薄れてしまう。ストーリーRPGとして頂けない問題点だろう。
追加要素がほとんどない
画質の向上はあったものの、システムについてはPSP版そのままになっており特に追加機能はない。
また追加要素自体はあるものの、ほとんど本編に影響のないものになっている。
まず支援要請が複数個追加された。ただそのほとんどはPSP版にもともとあった支援要請の焼き直しになっている。面白かったのは日曜学校講師パート2ぐらいだった。
他には購入したインテリアを調べることで遊べるミニゲームがある。ミニゲームはVITA本体の仕様であるタッチパネルや傾き機能を使うという新ハード初期ソフト特有の新機能を全面に押し出したものになっていて特に面白くはない。
文字フォント
移植にあたり、なぜか文字フォントが変更されている。明朝体系のフォントになっていて非常に見づらい。
特に画数の多い漢字が使われる上位クオーツは読めないぐらいになっている。
シナリオもボイスがある部分はいいのだが、そうではないイベントシーンはどうしても文章を読まなければいけないため疲れる。
続編のシステムが存在しない
この作品では、碧の軌跡で新たに採用されたアーツエフェクトと一斉攻撃エフェクトのスキップ機能は存在しない。あくまで零の軌跡で使われたシステムしか存在しないのだ。
そのため戦闘テンポの向上は全く望めないようになっている。
攻略について
敵の戦術はPSP版そのままのため全く同じ方法で問題はない。
音楽
売りとなっている全曲アレンジなのだが、後に発売されたEvolutionシリーズと違い本格的なアレンジBGMとなっている。
原曲からフレーズや音源が変わっていたり、原曲では存在しなかったフレーズが追加されたりと良くも悪くも別曲になっているものも多数存在する。
「On The Green Road」、「Arrest The Criminal」、「Formidable Enemy」、「守りぬく意志」が良いアレンジだと感じた曲だ。
逆にアレンジや音源があってなく、正直酷いと感じたのが「way of life」と「Inevitable Struggle」の2曲になる。
曲単品だといい曲は多いのだが、ゲーム内音楽としてあっていない印象が強かった。
まとめ
Evolutionシリーズ最初の作品である今作だが、画質がよくなりフルボイスとなっただけで遊びやすさは特に変わっていない。
すでにPSP版をプレイしていた人にとってはボイスのためだけに買うか迷うところである。
また新規で遊ぶ人にとっても、今では上位作品である「零の軌跡:改」の存在もあり、よっぽどプレイしたい人以外にはあまりおすすめできないというのが正直なところだ。