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配信内外でプレイしたゲームの感想とか

英雄伝説 零の軌跡 レビュー

空の軌跡the3rdから約3年後の2010年、軌跡シリーズ第4作目として日本ファルコムからPlayStation Portable専用ソフトとして発売された。

2017年に中国開発のものを日本語翻訳したWindows版が発売されている。

 

前作「空の軌跡」とは別の地域クロスベル自治州にて新主人公ロイドを中心とした特務支援課たちの戦いを描いた作品となる。

 

ネタバレしかありませんので注意。

 

 

よかった部分

メインシナリオ

クロスベル警察の新組織「特務支援課」。そこに所属することとなった未熟な若者たちそれぞれの成長、そしてチームとしての成長がよく描かれている。

その中でも主人公ロイドはチームの中心として事件に挑み解決へと導き、チームメンバーが持つわだかまりを解消するために腹を割って話しをしたりと多彩な活躍をする。

また上司であるセルゲイ課長の存在もよく、普段はサボり屋でうだつの上がらない信用できない上司と見えるのだが、実は特務支援課が行動しやすくなるよう影で動いていたという流れは非常に軌跡シリーズらしく、しっかり大人が見守っているという安心感を感じた。

世界観も前作までのファンタジー感が薄れ、近代的なものに変わったことでより世界観を理解しやすくなったのも良い部分。政治的にも少し踏み込んだ要素があるのも面白いところだった。

 

市民との会話

今作はクロスベル自治州というひとつの地域のみでストーリーが展開される関係で、同じ街や村を行き来することになる。その中での楽しみがモブ市民との会話である。

決まった場所にモブ市民が配置されていて、時間が経過するごとにセリフが変化するようになっている。軌跡シリーズおなじみのモブキャラクターにもドラマも用意されており楽しめるようになっている。

いわゆるクエストである支援要請は基本的に市民からの依頼であり、その後の様子もしっかり確認できる所はよかった。また一部クエストは本編シナリオに関わってくるため世界観を広げる意味でもやっておくべきだろう。

いわゆるクロスベルマラソンと呼ばれるこの行為、メインシナリオを進めるよりも優先したくなるぐらい作り込まれているのは流石ファルコムである。

 

システムの改善

空の軌跡のシステムをベースとしつつ、本格的な家庭用ゲーム進出のためか非常に遊びやすいようにシステム改善されている。

まぜフィールド画面の向きが固定されたことにより見やすくなっている。通常は俯瞰視点だけが、横からの視点が増えるなど様々なシチュエーションのマップを見ることができる。

またフィールドアタックの追加により、敵を一旦停止させ逃げやすくなったり、気絶させることで奇襲攻撃や先制攻撃を発生させ有利に戦闘をすすめることができたり、レベル差があればその場で敵を倒すことが可能になったりと遊びやすくなっている。

メニュー画面についてもオーブメント設定においてワンボタンで習得しているアーツ及び習得できるアーツのリストが表示され、わかりやすくなっている。

また戦闘時の行動によって取得経験値にボーナスが発生することがある。リスト自体はマニュアルに載っているため狙ってボーナスを獲得することで経験値稼ぎがやりやすくなった。

 

戦闘テンポの向上

空の軌跡と比べて様々な部分で戦闘テンポがよくなっている。

特に行動終了後から次ターンに移る際発生する間がなくなりすぐに行動できるようになった。また、敵の行動も無駄に長い攻撃は行わなくなったため、その部分においてもテンポがよくなっている。

新規ATボーナスの「TEAM RUSH」によって一斉攻撃ができるようになり、戦闘効率がよくなった。奇襲攻撃に成功すればほぼ確実に出現するため雑魚戦において多いに活躍した。

相変わらずSクラフトは演出スキップできる上、新規技であるコンビクラフトもスキップ可能となっている。アーツはスキップできないものの、エフェクト完了後の長い間がなくなっているため気になりにくいようになっている。

 

より便利になったファストトラベル

クロスベル市内にいる時スタートボタンを押すと地図が表示され各区ごとではあるがファストトラベルできるようになっている。

市街についてもバスによって各施設へ移動することができる。

クロスベル自治州内を常に移動することになるため、この機能を頻繁に使用することになるだろう。

 

悪かった部分

前作の知識が必要な一部イベント

基本的には今作から始めても問題ない作りにはなっているのだが、前作空の軌跡をプレイしていること前提のイベントがあった。

イベントの中で突然前作をプレイしていないとわからない単語が出てくるため初見だと戸惑うことになるだろう。特に「楽園」については前作「the 3rd」のPC版をやり込んでいないとわからない内容のため分かりづらくなっていた。

またラスボス戦後のエステル達とレンのイベントについては、特に空の軌跡をプレイしていないとさっぱりである。そのぶんプレイ済みの場合、ようやくエステルの物語が完結したのだなと感動できるのだが。

それにしても主人公であるロイドよりも優遇されすぎた感じはした。

 

絆イベントの存在

作中の行動によってマスクデータである絆ポイントが上昇するようになっている。

ロイド以外の3人それぞれに設定されていて、一定数ポイントが貯まると終盤特別なイベントが発生しコンビクラフトが強化される。

イベント内容はいままでのシナリオ上でのキャラクターとの関係性をより深めるものになっているのだが、ランディのイベントが次作の伏線となっているため見ておかないと次回作の内容が少し分かりづらくなっている。

またこのイベントは一周で一人しか見ることができない。一応調整することで2人ぐらいは選択できる可能性はあるのだが、ある程度考えてイベントを進行しなければならないのは少し面倒くさいと感じた。

 

逃走の仕様変化

空の軌跡では100%逃走可能だったが、今作では戦闘開始状況によって逃走確率が設定されるようになった。

通常戦闘では50%、敵の先制攻撃で0%となっている。一応「煙玉」というアイテムを使用することで逃走確率を100%にすることはできるが少し不便になっている。

 

引き継ぎの仕様

今作から実装された実績システム。

各章のクリアや様々なやりこみ要素のクリアによって獲得できるものだが、実績一つ一つにポイントが設定されている。これはクリア後のエクストラモード内のショップで使用できるもので、作中イベントや一枚絵の購入の他、引き継ぎ要素の開放にも必要なものになっている。

引き継ぎについて空の軌跡ではクリア時すべて開放されていたものであった。普通にプレイした場合、ほとんど実績の取得が出来ない可能性が高く、引き継ぎ要素の開放もあまり出来ない状況になってしまう。

色々と引き継ぎたいのならば1週でやり込まなければならず、あまりよろしくないものになってしまった。

 

攻略について

ザコ敵は基本的に奇襲攻撃からの一斉攻撃で有利に戦える。

強敵についてだが何らかの弱点属性を持っているため、弱点アーツを中心に戦っていきたい。

ボス敵は状態異常耐性はあるもののデバフ耐性をもっている敵は少ないため、数少ないデバフアーツである「クロノダウン」と「カラミティクロウ」は積極的に使っていきたい。

コンビクラフトは広範囲、高火力な攻撃であり非常に使いやすいものになっている。特にロイド、ランディで使える「バーニングレイジ」は最大火力を出せるため、ボス戦では積極的に使いたい。できれば絆イベントをこなして強化したい所。

 

音楽

今作のBGMは空の軌跡とは異なりロック調の曲が多くなっている。

好きなBGMは「Get Over The Barrier!」「On The Green Road」「守りぬく意志」「その背中を見つめて」「新しき日々~予兆」

 

まとめ

新シリーズとして始まった今作。システムが遊びやすく改善され、シナリオもまとまりがあり楽しめるものになっている。

前作の知識が必要だったり、続編に関する伏線や謎が多く存在するものの、話自体は完結しているため問題なく遊べるだろう。

なお複数の機種に移植されているが、戦闘ボイスについては新録となっているためオリジナルボイスを聞きたいならこちらをプレイしてみるのもありかもしれない。中古価格は非常に安いので。